StrongVPN (Encrypt.me) レビュー:その名の通り、強力に守ってくれるのか?

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StrongVPNについて

日本でStrongVPNの名を聞いたことがある方は、おそらくほとんどいないでしょう。海外でも認知度はかなり低い方で、競争力のある主要なVPNリストで見かけることは稀です。元々は「Safer VPN」という名称でしたが、改名を経て現在は「Encrypt.me」と合併した状態にあります。

StrongVPNはセキュリティ面では十分に見えますが、機能や価格といった重要な部分で少し物足りなさを感じるVPNサービスです。最大12台の同時接続に対応し、幅広い地域にサーバーを構え、ストリーミングやP2P通信も許可されています。しかし、競合他社と比較すると高度なセキュリティ機能が不足しており、インターフェースが直感的でないという弱点があります。また、年間プランの料金設定もやや高めです。

StrongVPNを所有する法人「Strong Technology LLC」の親会社や関係会社を見ると、Vipre Security Group、Ziff Davis、PCMagの3社が関連しています。Vipreはアンチウイルスソフトを提供し、PCMagはVPNレビューを提供。そしてZiff Davisを通じてStrongVPNやIPVanishを所有しています。一時期、複数のVPNを買収・合併して相乗効果を狙っていたようですが、その多くは成功しているとは言い難い状況です。

StrongVPNの特徴とデメリット

VPNをオンにすると、スマホやPCのすべてのトラフィックがVPNサーバーへ安全にルーティングされます。これにより、ISP(通信事業者)などの第三者からオンライン活動を保護し、追跡を困難にします。StrongVPNはその目的を果たすには十分な要件を備えていますが、ユーザーに選ばれるためには改善すべき点がいくつか見受けられます。

主な特徴

  • 適切なセキュリティ性能
    • AES-256 暗号化
    • DNS漏洩防止
    • キルスイッチ対応
  • 同時接続: 最大12台まで
  • プロトコル: WireGuard, OpenVPN (UDP/TCP), IKEv2, SSTP & L2TP対応
  • ストリーミング: Netflix、Hulu、Disney+に対応とされていますが、一部の口コミでは不安定との声もあります。
  • P2P利用可能
  • 対応プラットフォーム: Windows, macOS, iOS, Android, FireTV Stickなど
    • LinuxはOpenVPN設定ファイルによるCLI使用のみ可能
  • 支払い方法: クレジットカード、PayPal、Alipay
  • カスタマーサポート: ライブチャットおよび電話(英語)に対応
  • プライバシーポリシーの不透明さ: ノーログポリシーを謳っていますが、第三者機関による独立監査は受けていません。

デメリット

  • 小規模なサーバーネットワーク: 30カ国、950台以上のサーバーと紹介されています。
  • インターフェース: サーバー選択画面が独特で、メイン画面には「Best Available Location」と「Connect」ボタンの2つしかありません。希望の国を直感的に選んで接続するのが難しい仕様です。
  • 価格: 後述しますが、このコスパでは競合に勝つのは厳しいでしょう。
  • 透明性の欠如: 透明性レポートや独立監査報告書が公開されていません。
  • 米国拠点: 5アイズ(機密情報共有同盟)加盟国である米国(ニューヨーク)に本社があります。
  • スプリットトンネリング: Android版のみ対応
  • マルチホップ: 非対応

他社との合併を経てもなお、依然として小規模なVPNプロバイダーという印象を拭えません。多くの主要VPNは世界中に膨大なサーバーを保有しています。サーバー設置国が多いほど、ユーザーは現在地から近い最適なサーバーを選べますし、逆に自分の位置を隠すための選択肢も増えます。通常、大手は60〜70カ国以上のIPアドレスをサポートしていますが、それに比べるとStrongVPNの規模はかなり見劣りします。

NordVPN、ExpressVPN、Surfsharkのように「RAMベースサーバー」を運用していれば、ユーザーとしても安心感があります。HDD(ハードディスク)とは異なり、フォレンジック調査で復元できるような痕跡が残らず、電源が遮断されればすべてのデータが消去されるからです。残念ながらStrongVPNはRAMサーバーに関する公表がないため、従来型のサーバー上でサービスを提供していると思われます。

*2024年後半から2025年12月まで3ヶ月ごとにチェックしてきましたが、技術的なアップグレードは一切ありませんでした。社内でも今後の発展の可能性を低く見積もっているのかもしれません。

今どきPPTP?

さらに、VPNタイプの中に「PPTP」が見受けられますが、これは**絶対に使用してはいけない**プロトコルです。最も古く、脆弱性が指摘されているため、現在ほとんどのVPN会社は採用していません。しかし、私が10カ国ほどのサーバー情報を確認したところ、すべてにPPTPサーバーが存在していました。

また、設定画面にはキルスイッチのオン・オフとプロトコルの選択以外、セキュリティや機能に関するオプションがほぼ存在しません。それだけ単純(悪く言えば工夫がない)な作りになっています。

Reddit(海外掲示板)では、「StrongVPNに接続しているのに、別の地域からログイン通知が来た」という不穏な意見も見られました。

StrongVPNの料金プランとコスパ

2025年12月27日時点のStrongVPN料金
プラン内容月額料金年間料金返金ポリシー
月間プラン$11.99返金保証なし
年間プラン$3.97 (月換算)$47.69 (1年)30日間返金保証

StrongVPNに限らず、多くのVPNサービスの月額プランは割高です。年間プランを選べば大幅な割引が受けられます。しかし、客観的に評価してすべての面で優れていると言えるNordVPNやSurfsharkといった競合サービスは、より安価でより多くの機能を提供しています。そうなると、あえてStrongVPNを選ぶ理由は見当たりません。[最新VPNキャンペーン・最安値比較] この記事を見れば、StrongVPNがもはや価格競争を放棄していることがわかるはずです。

結論

検閲回避、IPアドレスの変更、ネットワークの暗号化といった基本的なネット通信の保護という目的であれば、StrongVPN自体は最低限の役割を果たせるとは思います。しかし、コストパフォーマンスは大手他社に比べて極めて低く、身近な人に「このVPNはどう?」と聞かれたら、到底おすすめはできないサービスです。

価格面だけでなく、拠点が米国(VPNユーザーが嫌う管轄権)であることや、未だにPPTPサーバーを提供し続けている点など、専門家としては理解に苦しむ部分が多いのも事実です。